今、過去記事を全部修正してるところで
この記事も、コンデンサの選び方応用編ということで、
電源部とカップリングコンデンサをまとめていたんですが、
あまりにもしょーもない文章だったのでいろいろ書き直してたらやたら長くなりまして、
電源部とカップリングコンデンサで分けて新しい記事にしようと思います。
まだまだ熟練の技術者の方からすれば稚拙な話かもしれませんが、参考になれば幸いです。
今回は電源部のコンデンサの話です。
電源部
これは、こちらのModのアイデア集のところでも少し紹介してるのですが、
もう少しだけ詳しくいきたいと思います。
電源部に使うuF台のコンデンサについてご紹介します。
電源部は、容量とインピーダンスが大事です。
もちろんですが、あんまりごっついののせるとケースが閉まりませんので、
サイズとのトレードオフです。
ちなみに電源のレギュレーションを良くするとレスポンスが良くなるという話もあります。
理屈はよく分かりません。学者たちの間でもこの辺はいろいろ議論されてるみたいです。
ノイズ除去に入れるコンデンサは、オペアンプの電源電圧が揺れるのを抑えるのにも役立ちます。
オペアンプに流れる電流の変動に強くなるので、
電源のインピーダンスが低いと表現することもあります。
容量
下の画像を見てください。
いずれこの話はまた原理編で電源部を扱うときに詳しくやりますので、
今は簡単に説明します。
この電源部のR9とC5はLPF(ローパスフィルター)になっています。
ACアダプターで電源をとってる場合は
完全な直流ではなく、交流が混じってます。
特にスイッチング方式のACアダプターは高周波のスイッチングノイズがあります。
というわけで、ガッツリしたLPFに電源を通すことで、
交流成分を電源ラインから捨てています。
スイッチングノイズは可聴域より高いことが多いので、
そのままそれが聞こえるということはありませんが、
オペアンプの電源が揺れることで、
動作が不安定になる場合があるので、
理論上は、電源は完全な直流に近いほどいいというわけです。
聴覚上そんなに変わらなければ、そこまでこだわる必要はありません。
ちなみに、パワーサプライは低周波のノイズは除去してくれますが、
高周波になればなるほど、ノイズはあまり除去できなかったりします。
なのでここのLPFはちゃんとした方が気分的にはいいです。
BOSSのBD-2はここのLPFがめっちゃしっかりしてます。
その話は原理編でやりましょう。
また正直、レコーディングとかをするのであれば、やっぱり電池が最強なので、
こんなところに、こだわらないで電池を使うのが一番です。
三洋電機 2010-03-04
ちょっと話がそれましたが、
今この画像のように100uFと47Ωの抵抗ならば、33Hzあたりがカットオフ周波数になります。
いちいち計算機叩かないでも一発で計算してくれるサイトがあります。
こちらに容量と抵抗値いれてそのまま計算を押したらカットオフ周波数が一発で出てきます。
容量をあげると、カットオフ周波数がさがるのがわかると思います。
交流の成分は基本的に60Hz、120Hz、240Hz....とコンセントの周波数の倍の周波数と、
さっき言ったスイッチングノイズです。
関東の人は50Hz、100Hz、200Hz....ですかね。
なので一応カットオフ周波数は50Hzより余裕を持たせて、下で設定した方がいいです。
じゃあコンデンサやなくて抵抗を上げたらええんやーと思うかもしれませんけど、
それはやめた方がいいです。抵抗を上げる=電源のインピーダンスを上げるなので。
オペアンプの電源が消費する電流によるR9の抵抗の電圧降下で電源電圧が揺れます。
なので、できるだけ抵抗値は下げたいので、コンデンサの容量をあげましょう。
僕的には、
50Ωより小さいぐらいの抵抗と220uFのコンデンサを二つパラって440uFにして使うのが多いです。
バイアス電圧を作っている分圧回路の47uFにも同じことが言えますが、
バイアスは電源ほど揺れないので、容量はC5ほど大きくなくてもいいです。
ついでにいうと結構でかい抵抗を使っているので、LPFとしては十分です。
インピーダンス
上の話は理想コンデンサの場合です。
理想コンデンサは周波数が高くなるにつれてインピーダンス(交流的な合成抵抗値)が下がるので
上のような話になりますが、
実際は、寄生インダクタンスの影響で、ある周波数を境にインピーダンスが上昇し始めます。
この周波数を自己共振周波数といいます。
電源部で使うような容量の大きなコンデンサではこの周波数が低めなので、
高周波ではインピーダンスが高くなってしまって、ノイズ除去能力が落ちてしまいます。
上の画像は同じ容量のコンデンサ同士のインピーダンスの違いのグラフです。
気分的には左が220uFの電解とOS-CON、右が0.1uFのフィルムと積セラのイメージで書きました。
OS-CONのグラフがちょっと変ですね。下手くそですみませぬ。
右のグラフは容量の小さなコンデンサのグラフですが、
容量の小さなコンデンサは自己共振周波数が高いです。
つまり高周波領域でインピーダンスが低い傾向にあります。
低周波では逆にいまいち。
というわけで広い周波数帯でインピーダンスをさげれるように、
でかいコンデンサと小さなコンデンサをパラるのが有効です。
抵抗の並列合成と同じ原理です。
さらに同じ容量同士でパラってインピーダンスを下げるともっといいです。
例えば440uFがほしいときに、440uFのコンデンサを1つ使うより、
220uFのコンデンサを二つパラって440uFにした方がインピーダンスが低くなります。
元々、低ESRとか、低インピーダンスと書かれたコンデンサを使えばなおさら良いですね。
電解コンデンサでは、低ESRも低インピーダンスも同じ意味で使われてる気がしますが、
ESRというのは、等価直列抵抗と言って、コンデンサに含まれる抵抗成分です。
これにインダクタンスやらキャパシタンスを足して考えたグラフが、
上のインピーダンスのグラフです。
自己共振周波数では、
ちょうどコンデンサのコンデンサ成分とコイル成分が打ち消しあってる状態なので、
インピーダンスが、ESRと一致します。
なのでESRが低いコンデンサというのは、
自己共振周波数のところでインピーダンスが小さい値となるようなグラフになってます。
上のグラフのOS-CONがまさにそうです。
ちなみに、低ESRだと自己共振周波数周辺だけで主に低インピーダンスになりますので、
低ESRとかかれていても広い範囲で低インピーダンスという意味ではないことが多い気がします。
この流れで行くと、OS-CONと積セラをパラりたくなりますが、
それは一応禁忌とされています。
組み合わせによっては反共振が大きく出てしまって逆にインピーダンスが悪化するからです。
この話はまた、いずれオシロを買ったときにでも実験してまとめたいと思います。
よく反共振するとキンキンした音になると言われるそうなのですが、
まーエフェクターはオーディオ機器とは違うので、
反共振して、キンキンした音になったりしたとしてもそれはそれで良しとなる世界です。
パラるのであれば、電解コンデンサを使うほうが無難です。
まとめ
なかなか長々と書きましたが、
エフェクターなのであんまり気にしすぎないのが一番です。
最近知り合いのミュージシャンもノイズなんて気にしてたらロックでけへんって言ってましたし。
それと今回、タンタルコンデンサについてはあまり触れませんでしたが、
タンタルコンデンサは、故障するとショートモードです。
はんだ付けミスったりなんかの衝撃で壊れてしまうと、
コンデンサのプラスとマイナスがつながるので、
電源がショートしたことになって怖いので僕は使いません。
OS-CONはオープンモードで壊れるのでここんところは安心です。
ちなみに、最近、秋月電子で220uFのコンデンサを200個まとめ買いしたので、
長い間、僕は220uFしかの電解しか使わないと思います(笑)
それと、最近いろいろアホみたいなことを過去記事で書いているのがわかりましたので、
修正作業に専念してます。
暇あったらどの辺が変わったかなーなんて探してみてください。結構変わってるのもあります。
全部修正できたら原理編の続き、
次はトーン回路計画してますので、またよろしくお願いします。
ではまた。
何やらすごいらしいマルチエフェクターの最上位機種