2016/06/01

エフェクターの原理 入力回路概要とカップリングコンデンサ

エフェクターの回路を作るとき基本的には、ツギハギです。



回路のタンスというのがあって、

引き出しにはそれぞれ名前がふられています。

トーン回路、EQ、増幅回路、電源部、昇圧、クリッピング、バッファ.....

回路を自作するときは、まずはこの引き出しからそれぞれ好きなものを取り出して、

横へ横へとつなげていく

これがエフェクター設計の一番簡単な考え方です。

原理編ではまずこの引き出しの中身を揃えることをしていきたいと思います。

引き出しの中がすべて揃えば、

すべてわかります。

今回は、
基本的に1つのエフェクターには絶対入っている、
振幅の中心を変える回路を中心にインプット部分を説明します。



ここがオペアンプで増幅するときの入力部分です。



それぞれのパーツの役目を説明します!

その前に軽く記号について説明。

三角形のマークは、GNDです。

BIASというのは4.5Vです。

点は、つながってるという意味なんですが、

普通C1の横には打たないのについてますが、

気にしないでください。

R1:一応ポップノイズ防止のための抵抗。
ポップノイズとは、フットスイッチを切り替えた時になる音です。

トゥルーバイパスのエフェクターをオンにした時になるあれです。

この音がならないところも個人的にBOSSが好きな一つの理由です。あと踏みやすいし。

さて、この抵抗、日本のエフェクター業界ではあまり見ない呼び方ですが、
海外ではPull-down Resistorと呼ばれています。

もともとプルダウン抵抗というのは、よくマイコンなどで使われる用語らしいです。

マイコンに関する知識は全く無いですが、いつかやってみたいことではあります。

ポップノイズにはいろんな原因が考えられるんですが、
コンデンサの漏れ電流とか.....

また次回にまとめます。

実は個人的にはこの抵抗に少し懐疑的なところがあります。
その辺もその時お話しします。

ここは今少し情報収集中なところもありますので。

とりあえずこの抵抗をつけると防止になるそうです。

しかし、この抵抗があっても実際なるので、気休めの抵抗ぐらいに思ってください!

また抵抗値が、入力インピーダンスに関係しますがその話もまた今度。

一つの記事あたりの文字数をあまり多くしたくないので。

2.2Mなら入力インピーダンスは気にしなくてもいいです。

またこの抵抗が繋がることで、C1の左足の電位はGNDになっています。

なぜかはバイアスのところで説明するので保留。

R2:オペアンプの入力保護抵抗。
なんか発振止めになったりもするらしいです。

一応1kをいつもいれていると、大塚さんの本にそうかいてあるので僕もそうしてます。

しかし、マルツのサイトとか見てましても、
ダイオードと一緒に使うのが本当は一般的らしいです。

抵抗だけで効果あるのかな?
どこのメーカーもやってるので多分あります。

どなたか知っていたら教えて下さい。

R3:バイアス電圧を与えるための抵抗。
この話もまた今度説明しようと思いますが、この抵抗の先は4.5Vにつながっています。

これによりC1の右足からオペアンプの入力端子までのどの地点も電位が4.5Vになります。

どうしてどの地点でも4.5Vになるかは次回説明します。

※電位というのはこの場合GNDから見た電気的な高さを言っています。

C1:本日のメインテーマ、カップリングコンデンサ


ちょっと事実とは違いますが、このような感じで覚えておくとわかりやすいです。

今エフェクターに電源をつなぐと、

コンデンサC1の両端にR3のおかげで4.5Vの直流電圧がかかり、

コンデンサが充電され瞬時に両端の電圧が4.5Vになります。

すなわちコンデンサの左足の電位が0Vで、右足の電位が4.5Vです。

こういう状態


コンデンサの両足間が4.5Vになるように充電されています。
ここでC1の左足が急に0.2V上がったとします
するとコンデンサの右足の電位が4.7Vにならざるを得ないことに....

コンデンサには4.5V充電されているから、

コンデンサの両足間の電圧は4.5Vのままというわけです。

イメージです。厳密性はありません。

こういう感じ


コンデンサのC1の左で変化した電圧分、右足でも同じように変化した。

この"同じように変化した"というところが大事です。

しかも、

C1の左で変化した時は0Vから0.2Vでしたが、

C1の右で変化した時は4.5Vを基準に0.2V変化しました。

どこを基準に変化したかが違います。


ここが今回とてもとても大事なところです。
ではC1の左足が急に-1V変化したらどうでしょう。
C1には4.5V充電されていて、この4.5Vは変わりませんので、

-1V + 4.5Vで右足は3.5Vになります。

こんな感じ


さっきと同じですね!

C1の左足と同じ変化が右足にも出てきた。

左足は0V基準に-1V変化したのに対して、右足は4.5V基準に-1V変化した。

ではもっと現実的な話を!
常に変化する電圧、交流を入力すればどうなりますか?

C1の左に1Vp-pの交流電圧を入れます。

Vp-pという表記は大丈夫ですか?


上から下までで、1Vということです。

言い換えると±0.5Vの幅でふれる電圧です。

さて先程の話から考えると、

C1の左側で電圧を1Vp-pで変化させる、すなわちギターの音を入れると、

C1の右足からは4.5V中心の1Vp-pの信号が出てきます。


4.5V中心になった

これが今日一番大事なことです。

なぜ、4.5V中心である意味があるのかは次回わかります!

今回やった説明は何度もいいますが少しイメージ的な話ですので厳密性はありません。

しかし、エフェクターを作る上でこんなところに大した厳密性はいらないと思います。

まとめ

C1とR3を使うことでC1に信号が通るとき、

0Vから4.5Vに信号の中心がシフトする。

これが全てで最も大事なところです。

しっかりと覚えておいてください。

次回からはここの入力部について、

バイアスだとか入力インピーダンスだとかをもう少し深く考えていこうと思います。

ではまた。

僕のお気に入りのエフェクターから本日の1台
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