2016/04/28

倍音とは一体何なのか。知ったかぶりしてませんか?


アンプの音、エフェクターの音、真空管の音、ギターの生音ー。

いろんな音について研究しようと思っております。

最近、真空管ライクなエフェクターを設計しようと思っておるのですが、

それで真空管アンプから出てくる音を解析していたんです。

これがまたなかなか興味深くて

そこでやはり、いろんな音を意図的に操って出すには

音についてもっと根本的に理解をする必要があるなーと思いました。

そこでまずは、倍音についてまとめようと思いました。

ギター業界で「倍音」が出てるからどうのこうのよく聞くんですが、

おそらくここで言われる倍音というのはとても曖昧なものであると思います。

実際、僕もよく倍音が出るギターですねーとか聞くんですが、

倍音というものの実態を捉えることは難しく、ふーんなんとなくそーかなー程度でした。

これは僕の耳が大したことないのもあると思いますが、

意外と倍音というものが何かわかられていない方多いと思います。

今回は倍音というものの実態をつかみに行きましょう。



倍音というものの役割


まず、倍音というものが音に対してどういう役割をしているか

おおまかに説明をします。

皆様、同じ音階の

ピアノのド



ギターのド



リコーダーのド

を聞き分けれる自信はありますか?

あたりまえですよね?

聞き分けるだけでいいんです。

リコーダーのドが鳴ったあとにギターのドがなったら

あ、違う楽器だなと思いますよね?

では、なぜ違いを聞き分けることができるのでしょうか?

当たり前ですよね。

音色が違うんだから!

ここで考えて欲しいのは

音色とはなんぞ?

ということです。
そのまえに音の高さ、音の大きさ、音の長さ(サステイン)について考えましょう
ギターで言えば

音の高さは、フレットです

音の大きさはアンプの音量もしくはピッキングの強さです。

音の長さもアンプの音量やギターの作りだったりしますね?

じゃあ、何が音色を作っていますか?
確かにToneやEQをいじれば音色は変わります。

しかし、それらをいじる前にギターはギターの音がします。

じゃあいったい何がその楽器特有の音色を作っているのでしょうか?

これこそが倍音です

倍音はその楽器特有の音色を作る役割をしている音の一つの要素

ここが倍音理解までの一歩目です。まだ少し曖昧です。

もっと詳しく行きます。

それでは、なぜ倍音という名前なのでしょうか?


なぜ倍音という名前なのか?なにが倍なのか


次はここに注目します。

まず音の高さ、音階というのは周波数という単位を使って表すことができます。

皆さんがよく聞くのは、「440hz=ラの音」だと思います。

チューナーの設定ですよね。

実は、意外とみなさん誤解されがちですが、

440Hzというのはギターの5弦の音ではありません。


ギターの5弦の音というのは実は110hzです


110Hzももちろん「ラの音」です。

周波数と音階の関係というのをここで説明しておきます。

まず、周波数が2倍になると1オクターブ上の音になります。

440hzは、220hzの2倍、220hzは110hzの2倍。

2回2倍になっているので、440hzの「ラの音」は110hzの「ラの音」の2オクターブ上の音になっています。

それでは周波数が3倍、5倍になるとどうなるでしょうか?

おっと、、、大事な説明を忘れるところでした。

この周波数を何倍かした音、この音こそ倍音といいます。

wikipediaから引用した図がありますので御覧ください。



簡単に度数を説明しますと、

5度や3度というのは周波数が1倍の音からその音がどれだけ高いかを表す一種の単位です。

音階をドレミファソラシドで呼ぶのではなく

例えば、度数を使うと「ミ」を表したい時、ドの3度といいます

音楽理論の説明をしたいわけではないのでこの辺は端折ります。

倍音はどのようにして音色を作っているか
さて今ここでギターの5弦の音を鳴らします。

すると先ほど言いました通り110hzの音がなっていることになります。

ですが、この音をスペクトルアナライザーで見ますとびっくりします。

スペクトルアナライザーというのは、音を視覚的に見る機械です。

これがアコギのA弦を鳴らした時のスペクトルアナライザーの様子です。


見方としては、
山が『ここの周波数がでているよー』と示してくれています。
山の高さがその周波数のでている音量です。

これを見ますと、5弦開放110hzを鳴らしているので、もちろんのこと110hzがでているのは分かると思います。

が、しかし

220hzや330hzは愚か、他のところにも山がでています。

この画像では見難いですがちゃんと測ると

220,330,440,550,660hz....と
整数倍の音が同時に鳴っています

110hzだけが鳴っているわけではないのです。

110hzはラですから、

この時1オクターブ上のラ220Hz、330Hzのミ(P5度)、440Hz2オクターブ上のラ、550hZのド#(M3度)も

同時に鳴っているのです。

これはびっくりでしょ?

ラを鳴らしたかと思えば実はミやド#もなっているという。

「ラ」と「ミ」と「ド#」で気がついた方おられますかね?

そうこれはAコードです。

ということは、5弦開放を鳴らした時は実はうっすらとAコードが鳴っているんです。

この時この110hz以外の整数倍の周波数の音

これを整数次倍音と呼んでいます


この時、倍音以外、この場合5弦開放の110hzのことを基音と呼びます。

楽器を弾くと

必ずこのようにして整数次倍音がなっています。

非整数次倍音(整数倍ではない倍音、ノイズの原因になったりする)も鳴っていることもあるんですが、

話がこれ以上長くなるのは避けたいので割愛します。

よく楽器の世界で言われている倍音というのは、
ほぼすべての場合において整数次倍音のことを指します。


さて、この倍音がどのようにして音色の違いを作っているか説明しますね。

今からそれぞれの楽器でのスペクトルアナライザをみてもらいます。

ピアノの110hzの音を見てみましょう。


先ほどのギターとは山の出方が違うのがわかりますか?

山の出方というかそれぞれの山の高さですね。

山の高さは音量を意味しますのでそれぞれの倍音の音量が違うというわけです。

この倍音の音量だとか出方の違いこれが音色の違いを生んでいるのです。

これはクラリネットのスペクトルアナライザです。



これはとても特徴があります、何かといいますと

2倍、4倍、6倍の倍音(偶数倍音)は小さくて、

3倍、5倍、7倍の倍音(奇数倍音)が大きいですね。


奇数倍音が偶数倍音よりでている楽器となります。

先ほどのピアノやギターより特徴のある倍音構成です。

ちなみにこんな音色です。



真空管アンプは偶数次倍音しかでない????


よく真空管アンプの音が良いと言われる理由の説明に

真空管アンプは音をキンキンさせる奇数倍音よりも偶数倍音のほうが出るから

と書いてあるものがあるのですが、

このクラリネットの音を聞くように、奇数倍音は音をキンキンさせるというのは間違いです。

さんざんと倍音の違いについて話してきました。

まとめ


基音の周波数を何倍かした音のことを倍音といい、

倍音は楽器の音色を決める要素。


実は今回スペクトルアナライザに通した音はすべてシンセサイザーの音です。

シンセサイザーで音をシュミレートするとき、この倍音成分のまじり具合をシュミレートしているのです。

実際、シンセサイザーを作っておられる方は、倍音を細かく調整しておられます。

以前テレビか何かで見てびっくりしました。

それに倍音というのは、音が減衰していくにしたがって、まじり具合が変わります。

楽器にはその楽器特有の倍音のまじり方というのがあると言いましたが、

これは音が減衰していく時にも言うことができ、

その楽器特有の倍音の減衰の仕方があります。

この倍音の減衰の仕方も含めてその楽器の音色を作っているのです。

ちなみに、倍音をシュミレートする、これで個人的に思いつくのがギターシンセやオルガンマシンです。

ギターシンセやオルガンマシン



このようにギターでオルガンのサウンドが出せます。

サウンドハウスさんでも取り扱いがありますが結構高評価です。
サウンドハウスさんでも取り扱いがありますが結構高評価です。

おそらくこれは、ギターの音の倍音成分をエフェクターの中に入っているデジタルチップか何かでオルガンの倍音成分に似せているのだと思います。

エキサイターというエフェクター

ちなみにここまではいきませんが、エキサイターというエフェクターをご存知ですか?

EQとはちがい、原音に倍音を付け加えることで自然に音色を変えるエフェクターです。

歌の抜けないボーカルにエキサイターを使っているなんて話を耳にしたことがあります。

エキサイターをかけることでEQとはまた違う感じでサウンド・メイキングができると思います。

サウンドハウスさんで見つけたのでよさそうなのを貼っておきます。

サウンドハウスさんで購入する
サウンドハウスさんで購入する

倍音を付け加えるという発想が少し違うくて面白いでしょ?

とはいえ、僕が本当にやりたいことは真空管の倍音です。

チューブライクなエフェクターを作るために今回の企画なわけです

真空管に音を通した時にどう倍音成分が変化するかをみれれば一歩すすめると思います。

良くチューブライクなエフェクターを作る時にfetを使うものがありますが、

倍音という観点からも見ることでもっと深く追求できそうです。

私の真空管アンプで実験しました内容については

そのうちまとめていきます。

話がひたすら長くなってしまいましたが、これで倍音に関する基礎知識はだいたい揃ったと思います。

倍音は高調波と呼ばれることもあります。

奇数次高調波、偶数次高調波などの呼び方から、

奇数次倍音、偶数次倍音とも言ったりするのでいろいろな呼び方に慣れておきましょう。

ではまた。

真空管ライクなエフェクターだとWampler社が熱いです。
真空管ライクなエフェクターだとWampler社が熱いです。

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