2016/07/23

エフェクターの原理 入力回路のハイパスフィルター解説



ついに入力部が終わります。

いやー結構たいへんでした正直(笑)

カップリングコンデンサとバイアス抵抗でできるHPF(High Pass Filter)についてやりたいと思います。

これを知っておかないとコンデンサとバイアス抵抗の値を決めることはできません。

また、少し前回やった入力インピーダンスの話を補足したいと思います。

この記事だいぶ前に投稿するよう設定しておいたのですが、投稿できていませんでした。

すみません。

いろいろ空いたので忘れてしまっている方も多いかもしれませんね。大変失礼いたしました。



HPF、ハイパスフィルター


ハイをパスするフィルターですので、ハイを通しローを通さないという話なんですが、

急に、ある周波数からいっさい通さなくなるのではありません。

いろんな種類のHPFがありますが、

一番簡単なやつがカップリングコンデンサとバイアス抵抗でできるやつです。


この赤く囲ったところがHPFになっています。

これはバイアス抵抗とカップリングコンデンサだからなっているわけではなく、

こういうコンデンサと抵抗のつながり方をしていればすべてHPFです。

このタイプのHPFは、下の画像のような減衰の仕方をします。


ある周波数からだんだんと落ちてくる。

仕組みは単純で、抵抗分圧の考え方と同じです。

まず、コンデンサと抵抗で分圧回路になっているので、コンデンサをインピーダンスとして、抵抗に置き換えます。


こんな感じです。

そしてコンデンサのインピーダンスは、

周波数が高ければ高いほど小さく、低ければ低いほど大きいです。

ちなみにコンデンサのインピーダンス(容量性リアクタンス)はこちらから求めれます。

理想的な計算です。現実的には、こうなっていませんが...

コンデンサの値を例えば0.001uFとかに固定して、周波数をいろいろ変えてみてください。

低域になればなるほど、リアクタンスが大きくなると思います。

ということで、コンデンサの値も抵抗の値も固定した状態で、

信号を入れると、

周波数が低ければ低いほどコンデンサのインピーダンスが大きくなって

分圧される度合いが大きくなって、低域で電圧が下がるわけです。

これが仕組みです。

さてこっからが本題です。

値をどのようにして決定すればよいでしょうか?

コンデンサにはなんの縛りもありませんが、バイアス抵抗には縛りがあります。


というわけで、抵抗値から決めるのが良いでしょう。

この抵抗は入力インピーダンスに関わるので、

むやみやたらに小さくできません。

というか元々、小さくする必要はないんですが。

というのも、分圧回路でGNDに落ちている抵抗が、

もう片方の抵抗に対して十分大きければよいからです。

これは前回やったインピーダンスの話と同じですよ。

画像を見てください。


これ、AとBどっちのほうが有利だと思いますか?

1k〜10kというのは1kから10kで値が変わるという意味です。

コンデンサは周波数でインピーダンスが変わるのでそれを考えてこうしました。

Aのとき

抵抗値が変わることで、オームの法則より分圧の比率が随分と変わりますよね。

今、1Vの信号が入ってきているとして、

1kの時、Aは0.90Vに分圧されます。

10kの時は、0.5Vまで落ちてしまいます。


Bのとき

1k〜10kと抵抗値が変わろうが、

0.99Vからほぼ変わりません。


これは、GNDに落ちている抵抗(この場合バイアス抵抗)の値が大きいことの恩恵を受けています。

つまりでっかくすればでっかくするほど、コンデンサの容量は無視できるわけです。

ですが、この抵抗をでっかくすればでっかくするほど、入力インピーダンスは上がります。

むやみやたらに入力インピーダンスを上げると、ノイズに弱くなりますのでよくありません。

というわけで、そんなに大きくできません。

後で、詳しく書きますが、ここは1Mが個人的にはベストです。

さぁここで計算式の登場です。

カットオフ周波数



-3dB音が小さくなる周波数のことをカットオフ周波数とよんでいます。

ここの周波数が簡単に計算で出せるので、ここの周波数を出すことから始めます。

\(f = \displaystyle \frac{1}{2πRC}\)

これで計算できます。

Rは、バイアス抵抗の値、Cは、コンデンサの容量です。

それぞれ、値はΩとFなんですが、

この単位は普段あまり使わないので、MΩとuFで計算しても良いです。
Mは10の6乗、uは10の−6乗で相殺されるからです。

要は、この周波数がギターの周波数より十分小さくなるようにすれば、

ギターの音はカットされないというわけです。

今バイアス抵抗の値を1Mと決めたので、

このカットオフ周波数を使って、コンデンサの値を決めたいと思います。

ギターの最低音レギュラーチューニングでは82Hzですが、

個人的には常に半音下げなので、

82Hzよりも小さい周波数でも減衰してほしくありません。

それにベースもつなげるようにしたいので、

ベースの最低音41Hzはそのまま通って欲しい。

というわけで、10Hzぐらいにしよう。

fに10Hzを代入して計算してもいいんですが、ちょっと面倒なので、

コンデンサの値を適当に放り込んで考えましょう。

0.01uFはどや!

15Hz.....


0.022uFはどや!

7.2Hz!

よしこれや!

カップリングコンデンサの値は0.022uFで決まりや!

こういう感じでやります。

こちらのサイトで計算しても構いません

これ以上大きくしてもそんなに変わりませんが、

0.1uFがまあ最大ですかねー。

これ以上大きくすると、コンデンサの寸法的な問題が出てくるので、

基盤を作るときに面倒です。

ただし、あくまでも計算上の話です。


計算はコンデンサを理想コンデンサとして計算しているので、

現実にはいろんな問題がはらんでいます。

だから必ずしも計算どおりに行かないので、

最終的なところでは耳が便りです。

聴覚上どう聞こえるかも大事です。

しかし、これには多大なるプラシーボ効果の影響を受けているので、

自分ではやらないほうがいいでしょう。

計算も大事だけどフィーリングも大事ということです。

ではまた。

最近はチップのパーツの恩恵でエフェクターがどんどんちっちゃくなっています。

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